パソコン用電源の故障と修理

このページは blog には記載していない項目です。この項目は非常に高いリスクを伴う為、記載は避けていました。一歩間違えると感電死や、爆発、火災もあり得ます。実際爆発、炎上は何度となく経験しています。あくまでもここは参考までとしていただきたいと思います。またもしご自分で挑戦しようとするなら、自己責任でお願いいたします。ここをみてあなたが行った行為について、あなたが受けた損害そのた諸々の事故は一切こちらでは保証しません。その辺を理解してご覧ください。

電源が壊れる原因

 電源が壊れる要素は沢山あります。しかし一番多いのは、換気が悪いところと高温多湿で多く発生します。パソコンの電源は小さく軽量化する為に、スイッチング方式の電源を使用しています。簡単に説明すると、電気を溜める回路を1回路または、2回路用意して、その回路のコンデンサーに貯まった電気が無くならない様に回路の出力を高速にスイッチで切り替えているごく簡単なものです。このスイッチは溜めた電気を「流す」「溜める」を繰り返します。

300W電源の中身
150Wの電源の中身

ごく一般的な電源器

 上の写真の通り用途によって電源は様々です。左と中央はスイッチング電源。右は無線機などに使用するDC13.8V/10Aの電源です。何か違いが解りますか?そう、無線用の電源には大きなトランスという物が乗っていますが、スイッチングの方には小さいトランスしか乗っていないですね。スイッチングにはヒートシンクと言うのが何枚も付いています。アルミのパネルですね。スイッチング電源はトランジスタを使って高速スイッチングするので、働く分発熱します。電力を使えば使うほどにスイッチングのスピードが高速化され、さらに発熱します。そうすると冷却が必要になりますね。そのために左と中央の写真にFANがちょこっと写っています。このFANがかなり重要になります。スイッチング電源では冷却処理が一番の問題となります。

 最初に書きましたがここで換気の問題が出てくる訳ですね。これが悪いと連鎖的に壊れていきます。ですからパソコンはマメにホコリやゴミ掃除をしましょう。会社なんかでは極悪環境(笑)で使用することが殆どです。動けばいい。自分の机だけ掃除していたら駄目なんですよ?

 さて連鎖的とはどういう事か。まずFANですが、結構ちゃっちいです。すぐ油が切れて回らなくなったりします。Made in Chaina製には特に多いです。 Made in Japan が一番です。このFANが停止するとどうなるか?スイッチングは熱を持つと冒頭にも書きました。当然ものすごい発熱になります。もしかすると発熱しているトランジスタを止めている自身り半田を溶かしてしまい導通不良で停止する場合は可愛いです。温度上昇で一番まいってしまうのが実は電解コンデンサーです。このコンデンサーには最高動作保証温度というのがあり、コンデンサ本体に記載があります。粗悪な電源だと85度なんて言うのが付いていたことがあります。大抵は105度です。たとえそんなに上がらなくても、何時間も高温で側にヒートシンクがあればコンデンサーだって、参ってしまいます。時間につれてコンデンサーが耐えきれず膨張してきます。

中央のコンデンサ膨らんでいる
これはコイルの後ろのコンデンサ
角度を変えて

 これが進むと、容量抜けや、液漏れによる基板腐食、爆発、ショート状態になります。容量抜けは不安定になるので解ると思います。液漏れは最悪です。もちろん爆発、ショートもですが、一番はしょーとしてしまい、他の部品まで影響が及んでしまう事。でしょうか。こうなると専用基板を使ってる電源や専用ICを使っている電源は再生不能となります。大抵この辺はマスクしてしまっていますので、何使っているのかが全く不明です。この場合は素直にあきらめましょう。

 実はこのコンデンサーの頭(通称安全弁と言っています)でだいたい何処のメーカーなのかが解ります。で破裂しやすいのか Made in Japan なのか Made in Taiwan はたまた Made in Chaina なのか。判別が付くと思います。この辺は次回。

 電源基板は至って簡単です。紙エポキシ基板と片面パターンですのでマザーボードのコンデンサ交換よりは遙かに楽ですが、遙かに汚い事も覚悟してください。それはあなたの清掃が悪いからです。(笑)使えなくなった電源はばらして次の修理に使えるようにしておくといいでしょうね。なんでも自作する人にはまた電源部の部品は結構良い物があったりしますんで。私は殆どはずしてしまいます。

部品取りとなった電源部

修理と動作確認

 さて、こっからが問題です。写真は掲載いたしませんが、最後の動作試験は危険が伴います。なので電源投入はケースの蓋を閉めて(電源部の蓋です。)作業をしましょう。一見修理完了と思わせる完成ぶりだとは思いますがまず次のことをやってみます。

ATX 20pin 電源コネクタ
Pin 番号
線色
信号
信号
線色
Pin 番号
10
+12V
+5V
20
9
+5VSB
+5V
19
8

PWR OK
-5V
18
7

COM
COM
17
6

+5V
COM
16
5
COM
COM
15
4
+5V
PS ON
14

3

COM
COM
13
2
+3.3V
-12V
12
1
+3.3V
+3.3V
11
幅の違いは勘弁

 電源コネクターにグリーンの線があります。上の表で行くと、PS on です。これを隣の黒とピンセットか何かでショートさせます。これで電源FANが周り、テスターで各ピンの電源電圧を測定してみます。このとき電源がまったくうんともすんとも言わないときはすぐショートを解除してください。そのままにしておくと、爆発、発火するかも知れません。まったく動かないときは、素直に諦めてください。24ピンタイプのATXコネクタも同様です。グリーンのケーブルを探して、黒ケーブルとショートさせてみてください。

コンデンサの交換に際して。

 パーツショップなどで購入する場合当然元のコンデンサの値を確認して置くのは必須です。特に電源部分に関しては耐圧も関係してきますので電圧の表示だけはチェックして下さい。間違えると破裂します。いや炸裂ですか。特に出力側です。5V側にはよく、6.3Vなんかを使ったり12Vに16Vのコンデンサを使ったりしています。目的の電圧が無い場合はそれ以上の電圧であれば、問題ありません。ただし耐圧が大きくなるとコンデンサーの大きさも大きくなるので他の部品と干渉することもあります。また同じ耐圧でも、スリム型もありますので、よく確認して購入しましょう。後、容量です。3300μFが無くて 3000μFで代用もある程度は可能です。ただし不安定化要素になります。スイッチングする定数にもよりますがあんまり容量が少ないと、落ちてしまいますし、逆に多すぎると充電に時間が掛かったり、その充電に許容量以上の充電電流が流れて壊してしまう可能性もありますので、容量にも十分配慮して下さい。

 それから、保証温度も注意して下さい。コンデンサ本体に記載されてる事が多いので、よく見て購入して下さい。大抵販売されているのは 105℃の物です。電源に使用するなら、105℃以上の物がおすすめです。105℃超えると値段も違いますが。

105℃日本ケミコン製
85℃ナショナルのコンデンサ
同じく85℃のニチコン製

 この写真のコンデンサはすべて Made in Japan です。外した物もあります。すべて良品でした。ジャンク箱の中には海外製の物がありますが、重さが違いますし、105℃とは記載されているけど本当なのかどうかは解りません。大事なマシンでしたら、日本製のものに交換することをおすすめいたします。これだけで寿命がかなり延びます。

 電解コンデンサには極性があります。これを間違えると破裂することがあります。元に戻すときは+側がどっちだったのか必ず確認して置きましょう。爆発するだけではなく壊れてしまう事もありますので。また最近では無極性の電解コンデンサもありますので、購入の際はご注意下さい。

スイッチング電源のノイズ

 スイッチング電源の最大の難点はノイズです。GPSの所でもちょっとだけですがスイッチング電源の前にノイズフィルターを挿入した図があったかと思います。通常使うなら別に問題はないのですが、無線やその他パソコンを利用している時に結構弊害が起きます。特に粗悪な電源を使うと顕著に出てしまいます。そんなトラブルを二つばかり書きましょう。

  1. ノートパソコンの電源が壊れたので一時的に、とある機械から外したスイッチング電源で代用。

    症状:電源を差したままネットワークに参加しても参加出来ない。抜いてバッテリー運用にすると問題なく参加出来る。
    結局、スイッチング電源が粗悪で、出力ラインまでノイズが乗っていたらしい。フィルターを入力に入れても変わらなかったのでその電源は使用をやめて別のスイッチング電源で無問題。

  2. 無線を聞いていると、ものすごい勢いでなんかの信号とおぼしきノイズが、全バンドで確認出来た。 無線が使用できないほどのノイズだった。

    原因:すべての電源をON/OFFして調べた結果、430MHzに使用していたスイッチング電源が原因。ACラインからノイズが回り込みをしていたのでAC-LINE フィルターを挿入して実用レベルまで低下。いくつかキャリアが確認出来たが、問題なし。すべてアースをとることでさらに減少した。

ということで、アースも重要って事ですね。

改版履歴
2011/12/17 文言修正