IC-575の修理

 今度はIC-575Dの修理です。こちらはたいした修理ではなく、バックライト交換しようと思い交換作業を始めました。修理の途中でそーいえばいつまで経ってもFANが回らないなと思い出して調べて見ました。(2段階で修理したので延べ半日の作業です。)

とりあえずバックライトだけ交換。その後FANが回らない原因を確認しました。(これは後述します)

  まずバックライトについて。 バックライトについてはIC-1275 ⑤ でも紹介しております。しかし実際どうなっているのか写真でお見せできなかったので今回はそれを含めて掲載いたします。
  実は75シリーズ、前期バージョンのPBTタイプと後期バージョンのDATAタイプと2つのバージョンがあり、それ以外に若干マイナーバージョンしたものもありますが大きくはPBT/DATAタイプでしょう。そして最大の難点はバックライト交換です。 一番苦労するのは初期タイプでシールド板が半田付けされているタイプもあります。(何度か当たりましたIC-275に多い?)

 

 写真1はバックライト交換前です。麦球なので年月とともに点灯しなくなると言う不具合です。昔のRIGは多いですね。これをLED化していきます。(簡単では無いので上級者向けです。)本体をばらしていきます。上下カバーを外すと写真2の様になります。(外し方は端折ります)
※写真2は既にフロントパネル外していますが、上記作業を行った時点ではフロントパネルは固定されたままになっています。フロントパネルを外さなくても下記作業のコネクタは外れます。

最初にまずフロントパネルをばらします。フロントパネルは2本の皿ネジで両側で止められていて、更にロックが掛かっているのでマイナスドライバーで片側のロックをこじれば、フロントパネルは外れますが。(ネジを外しただけですと、上下に多少首が振る位なので、作業になりません。何も出来ない)ここからかなり苦労します。まずフロントパネルのシールド板(写真3~7)を外すため、コネクター類を外していきます。抜くときは無理に引っ張らないように慎重にコネクタから抜きます。無理に引っ張るとケーブルが細いので内側で断線してしまったり、切れたりしてしまいますので扱いには十分注意して下さい。
  コネクタは作業性、安全性を考えて全て外します。解らなくならないようにコネクタに、マーキングや細いペンでコネクタ番号を記載するのも良いですね。私は両方やっています。大きい幅のあるコネクタは番号を記載し、文字入れ出来ない物は、コネクタを付けた状態で、雄と雌にまたぐように1本線を引きます。これで同じサイズでも、違うとラインがずれるので解りやすいです。もちろん自分に合わせた方法でマーキングして下さい。どれが良いというのはありませんが、何も書かなくてもコネクタに印刷されているのもあるので参考にして下さい。簡単に外せるコネクター、ちょっと2段になって外しにくい様な物もあるので慎重に。 外していると、シールドパネルがあるとどうしても外せないケーブルが3本だけあります。これはPLLユニット側のシールドされている蓋を開けてPLLユニット側で外します。
  ※PLLユニットにはアルミテープでアースに落としている部分が有り、蓋を開けるためにはこのアルミテープを剥がさないとなりません。お手持ちであるのでしたらばりばり剥がしてしまってもいいのですが、お持ちでない方は、慎重に剥がして再利用出来る状態に。ちなみにアルミテープはDIYのお店でも販売しているところがあります。配管コーナーに行くとあるかもしれません。ご自分で張る場合は他の部品に触れたりしないように注意して下さい。テープ自体アースに落ちてしまいますので。

  PLLユニットのカバーをはずすのはとても簡単ですが、元に戻す際にケーブルの配線の善し悪しでPLLユニットの蓋が閉まらなくなるの事があります。ルートをよく確認しておきます。一番いいのは開けたときの状態を写真に残しておくことです。作業もそうですが、ヤバイと思ったら写真を撮っておく事をお勧めします。そうする事でネジが余った・・・と言うことは無くなります。 (カバーは爪で引っかけては開きませんのでマイナスドライバーでこじ開ける感じにはなるのですが、周囲の部品、ケーブルに傷を付けないように。無理に片方からだけこじ開けると蓋が変形してしまい二度と閉まらなくなり、動作不安定になる可能性があります。またケーブルの配線の仕方でも変わってしまうことが希にあるので、ルートは最低チェックしておいて下さい。)
  慣れていないとこの作業にはかなり時間が必要ですので、焦らず作業することをお勧めします。 3本残して、ケーブルが外れたら、シールド板をはずします。皿ネジで止められている部分もありますのでよく確認しながら外していきます。(写真にも写り込んでいます)ただ一カ所のもシールドがアースに落としている部分があり、ロットによってはドライバーが入らないばあいがあるので、その場合は細い+ドライバーで外すようにしましょう。ケーブルに傷を付けてしまわないように気をつけて下さい。 
  ネジの写真で緑色のマジックで線が引いてあります。これは工場で組み立てた時にネジをちゃんと締めたかどうか締めたものにはチェック済みを兼ねてこんなラインが入っていることがあります。必ずしも取った場所と同じ所に同じネジを付けないとならないって事は無く、種類と閉め忘れさえ無ければどうでも良いです。ただ締めすぎには注意して下さい。一番いいのは3本指で回して、(無理な力で回さない方法)そこで止まるのがいいと思いますよ。

 シールドを外すといよいよ、バックライトの基板面が拝む事が出来ます。(写真8)

 ここでおわかりの方もいらっしゃるかとは思います。そう1つだけコネクターの間にあります。J9とJ10の間に鎮座しております。もちろんこれも外します。J9/J10のコネクタを外してしまってから作業をした方が安全です。そして IC-1275には無かった黄色いカバーが電球にかぶされています。別に無くても問題はないのですが、一応カバーだけ外して取っておきます。(3mmのLEDには付きませんでした)
  ハンダ吸い取り器ではずして行くのですが、やっぱりこのコネクタの間がネックです。コネクタにコテが当たらないように慎重にハンダを吸い上げます。当然綺麗に外れませんので、熱を加えすぎないように外して行きます。全部で4つはずします。(写真9)
  3mmの電球色のLEDを取り付けます。IC-1275でも紹介しております。4つともに取り付ける深さが違います。これは抵抗を付けるときにいろいろと問題を起こすので、一つ一つ深さをあわせて取り付けていきます。電球ならプラス/マイナスはありませんが、LEDは大いに関係するのできちんとプラス/マイナス極性を確認します。パターンを読めるならテスターで当たらなくてもマイナス側は解ると思います。どうしても解らない場合は、どこかアースと、電球が付いていたパターンのマイナス側がショートしていればそれがマイナス側となります。参考にして下さい。(写真9でもマイナス側は一目瞭然ですが・・・)
  取り付け方法はIC1275⑤にものせております。LEDの電流制限用抵抗を付けるのが結構面倒です。周りの部品やシールドでショートにならないように乗せ、ハンダ上げします。
  最後はIC1275でもやった通り、電源SWに行っているコネクタにDC12Vを印加してLEDが点灯するのを確認します。(写真10)確認せず、元に戻してしまって、電源を入れた時にLEDが点灯しなかったらまた解体ショーをしないとならないからです。手順を怠るとさらに面倒な事になります。人間ってすぐショートカットしたがりますので、気をつけましょう。やることはやってから、全て納めます。

 写真11は今回外した電球です。黄色のカバーが掛かっていますが、簡単に剥がせます。

 ばらした順番とほぼ真逆の行程を踏み、最初のほうで書いた PLLユニットの内部配線に気を遣いながら元に戻して行きます。PAユニットは置く場所や置き方悪かったり持ち方悪いとスピーカーのコーン破ってしまうので扱いには気をつけて下さい。
  この行程で私2時間ほど掛かります。時間を掛ければもっと綺麗にできるかもですが・・・またLEDの電流制限抵抗の問題なのか、たぶんLEDだからだとおもうのですが、明るさのコントロールはほんのちょっととか変化しません。まぁ、電球ではないので、普通に明るくしておいても問題はほとんどありませんが、粗悪な中華製のLEDだと切れてしまうかもですので安かろう高かろうです。
  下記は、今回IC-1275とIC-575に使ったLEDは電球色のLEDです。秋月さんで購入したものです。

 3mm電球色(100pcs入り)
 拡散用カバー

 これらを使用しています。1個20円ですが、チマチマ買うより 100個で購入した方が後々色々使用出来ると思います。写真12は交換後、LED化したものの写真です。

写真1
写真2
写真3
写真4
写真5
写真6
写真7
写真8
写真9
写真10
写真11
 
写真12

FANの故障

 さて、LED化した後、元に戻す際に本体が熱を持ってもFANが回らない事を思い出し、納める前にちょっと確認したら、FANへのコネクタが抜かれており回らない原因はこれかと。でもかなり前になんかで抜いた記憶があったんだけど、理由が思い出せず、とりあえずコネクタを元に戻して納めたのですが電源をONにしてびっくり。FANが最大で回り始めた。結構うるさい。
 この日は、6m SSB ロールコールのMC担当で時間がなかったので、一端そのまま納めましたが、やっぱりうるさい。 SSBでも1.2GHzのFMでも、ローカルさんから何の音?と言われるくらい拾っているらしい。 これではいかんと、ロールコールが終わった後に再度ばらして回りっぱなしの原因を探ろうと。

写真13
写真14
写真15
写真16

 写真13の回路図を眺めると丸印の2つのトランジスタが怪しい。しかも片方はあの2SD468だ。絶対これはこいつが飛んでいると確信。何も考えずこの2SD468とダーリントン接続されている2SC2785を交換することに。なぜかと言うと、サービスマニュアルに記載されている電圧測定しようかと思ったのですが、ちょっと難しいというか面倒なのでもうこいつにターゲットを絞りました。

 PAユニットを開けますが、ネジの多いこと(写真14)。シールドの羽板があるので取り付け位置は間違えないように注意しましょう。開けると写真15のようになっております。FANコントロールは一番下のヒューズが乗っている基板です(写真16)。

 このコントロール基板を剥がすのに一苦労。ネジ4本+トランジスタ放熱のネジでとれるかと思ったらPAユニットにアースが、がっつり配線されており非常に面倒でした。

写真17
写真18
写真19
写真20

 今回は取り出さず交換できるスペースのみ確保と言う算段で作業を開始。ほんとメンテナンス性は全くないですね・・・。まぁ仕方ないか。 外せるコネクターとヒューズは抜きました。また結束バンドも障害になるので一端切断します。
  戻すときにまた結束バンドで締めます。(あまり強く締めるとケーブルを損傷させますので適度な強さで締めます)また鉄板のカバーが掛かるので締めたときにケーブルを挟んだりケーブルが団子になり盛り上がったりしないように注意して閉めます。 こんな感じで交換しています(写真17)。一応2個とも交換しておきます。外した写真(写真18)は上の二つが外したトランジスター。下の二つが新品です。

 外したトランジスターをテスターで確認しましたが、2SC2785は問題なし。2SD468は全ショートでした。余談ですが、とあるローカルにテスターでの測定の仕方を聞かれましたので少しだけ説明を。と言っても説明してもたぶん解らないと思いますが一応写真を載せておきます。

 トランジスタのマークの通り矢印の方向には流れますが反対には流れません。 写真19はベース(B)とエミッタ(E)間を測定しています。赤がベース(B)黒がエミッタ(E)に接続されています。これは導通があっても良いのですが、ほぼショート状態。0.5以上ないと駄目なんですが。

 写真20が今度は赤がエミッタ(E)黒がベース(B)なんですが、コレクタ(C)に電圧が掛かっていない状態で導通があったらいけないんですね。しかもほぼショートしています。

 他の端子も全て導通になっていて、これで行くと、FANは制御不能。もろに13.8Vがコレクタから流れ込んでFANが最大回転で回る・・・と言う話になるわけですね。この前段についている2SC2785はファイナルに熱結合されているサーミスターで制御されるのですが、ダーリントン接続で2SD468に流れる電圧を制御しています。制御されるトランジスタがスルー状態になっていたので電源入れると同時にFANが最大で回ると言う仕様になるわけです。 というわけで比較的簡単な?修理となりました。最後はちゃんと納めて入れましたが、JT65用のケーブルを差し込んだらSTVがまた混信しています。ちょっとケーブル考えないと駄目なようです・・・

履歴
2017/07/16 公開